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5月 02 2008
煙草おもしろ意外史(日本嗜好品アカデミー編) プリント
2008/05/02 金曜日 17:30:00 JST

嫌煙という風潮がブームを過ぎ、いまや道理で倫理、絶対善かのようになっているこの空気は、非喫煙者の私にさえたばこの煙が混じる空気より息苦しい。 この本の紹介部分にはこうある。「嗜好品とは、人類の社会生活に溶け込んだ大人の文化である。たばこを始めとする嗜好品は、そのモノのもつ特性に加え、その特性を引き出し高めることのできる大人の存在があって初めて光を放つ。しかし、今日においては身体的健康や迷惑といった一面のみが喧伝され、嗜好品の意義が希薄となってしまった。このような状況に鑑み、嗜好品文化を再確認し、嗜みのある大人社会を復活することを目指して活動している。」

これは、たばこにまつわるいろいろな論争へのひとつの返答にもなっていると思う。

子供は国の宝だ。お子様ランチのある居酒屋があり、アンパンマンの入ってないカラオケ屋はない現代、大人と肩を並べることができるシーンがどんどん増えているけれど、だからこそそこで大人だけの楽しみを上手に見せつければいいのに、と思う。

携帯を持ち、ものすごく小さい頃から好きな子にメールが打てて、基本的には何でも食べることが出来、大人と子供の境界線がどんどんなくなりつつある現代だからこそ、酒とたばこは聖域として残して欲しい。

小学生の頃、大好きだった教頭先生に「お酒とかたばことか、子供ができないことがいっぱいあって、大人はズルイ」と、かまって欲しくてイチャモンをつけたことがある。先生は「遊園地には子供しか乗れない乗り物がある」と言った。そのときは理解できなかった、「特権」という宝石は手中にあるときはその輝きが見えないものだから。

でも大人になって(というかすっかりトウが立って)よく分かる。ミッキーもドナルドも大好きなままだけど、夢と魔法の王国では彼らはもう私には手を振ってくれない。30過ぎて遊園地で主役になりたい!と金を散在しても痛々しいだけだけれど、今優先的にプーさんが近寄ってくれるちびっこ達には、あと何年かすれば酒もたばこも選べる時がくる。ミニーが笑いかけてくれなくなる頃、別のお楽しみがこちらを振り向いてくれる。そのときになって彼ら自身が初めて、好きになるか嫌いになるか、自分の嗜好を形作るんじゃないのか。

むしろ彼らのために、「善悪」で排除するのではなく、「好き嫌い」でジャッジする余地を残しておいてあげましょうよ。

 

好きな人と食事をしてるとき、相手がどんな顔色でどの話の最中に何本たばこを吸ったかで一喜一憂したり、そもそもどの銘柄を吸ってるかで、その人をもっと好きになったりする。上司の灰皿にある吸殻の本数で「今日は近づくのをやめとこう」と勝手に決めたりもしてる。相手を観察するのに、たばこは賢い判断材料になり、これは日常の文化だと思う。健康と文化≒理科と国語は確かになかなか両立しないけれど。

 

この「日本嗜好品アカデミー」の代表、本島進先生と編者の半田昌之先生はFBO認定のシガーアドバイザー講習会の講師もお務め頂いている。

 

喫煙者はもちろん、嫌煙派の方もニュートラルな非喫煙者も、とりあえず「知る」ことからはじめてみませんか?その古い発生から世界と我が国での歴史的歩みまで、この本で俯瞰するだけで「文化としてのたばこ」という別の側面がわかるはずだ。

 

この本で、子供の頃出掛けの忙しい父に母がしていた「吸いつけたばこ」が、江戸の遊女がやっていた風習だと初めて知った。どうりで子供心に気恥ずかしかったはずだ。嫌煙派の方から見たら、そもそも家族単位で品が無い、って言われてしまうんだろうな。でもしょっちゅう他人を巻き込んでの大喧嘩ばかりだった両親のそのワンシーンが、ちょっとドキドキしつつも私は大好きだった。

(ISBN4-16-660270-5 CO295 文春新書 700円(税抜))

 
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