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5月 14 2008
酒のある風景 オーストリア プリント
2008/05/14 水曜日 15:57:00 JST

「ホイリゲ」で新酒ワインを楽しむ

著者:料飲専門家団体連合会事務総長 右田圭司

オーストリア・ハンガリー帝国を彷彿とさせる町並み

提供:オーストリア政府観光局/Popp

今回は旅を終えたときに身も心もリッチな気分になれる国、オーストリアです。19世紀中頃からハプスブルク家の君主が統治していたオーストリア・ハンガリー帝国はヨーロッパ大陸の中心部分を占めていました。

芸術文化の発信地として華やいだ帝国は現在のニューヨークやロンドンなどをはじめとする、最先端都市が一堂に会したような勢いだったことでしょう。音楽、美術、文学、いずれも現在に至るまで大切に継承されており、私たちを大いに楽しませてくれます。 


Wienner Schnitzel

提供:オーストリア政府観光局/Wiesenhofer

また、王宮時代の恩恵を受け、オーストリアは美食の国でもあります。ターフェルスピッツやグーラッシュをはじめとした料理のレベルは高く、種類も豊富です。特に穀粉(特に小麦粉)は高品質で、世界中で最も美味しいパンを食べられる国だと思います。

ほかにも粉料理は多く、ウィンナーシュニッツェルのようにメーン料理にも使いますし、アプフェルシュトゥルーデルのようなデザートもたくさんあります。おなじみのザッハトルテをはじめ、ケーキの種類の多さには目を見張ります。


そして、オース トリア人 の生活と切っても切れないのがワイン。今回の訪問先はウイーン近郊、ドナウ川の景観が最も良いヴァッハウ渓谷です。ここは世界遺産に登録されるほど美しい ところで、旅行者はドナウ川と丘が連なる田園風景の写真を撮るのに夢中になるとか。川沿いの斜面に面した険しいブドウ畑もまた、その景色に花を添えていま す。この斜面が、ブドウの生育に重要な役目を果たします。長い日照時間と夜間の冷え込みによって酸の蓄えることのできる質の高いぶどうが出来上がり、それが美味しい白ワインを生み出すのです。
ここには数々のワイナリーが点在します。多くのワイナリーを回りましたが、中でもニコライホフは世界屈指のワイナリーといえます。全体的な感想としては、やはり原材料、ブドウの素晴らしさでしょうか。特にミュラートゥルガウは秀逸です。

おそらくオーストリアワインといえば、地品種のグリューナーフェルトリーナーからの酸っぱいワインや、リースリングワインをイメージする方が多いと思います。もちろんそれらもお勧めですが、私はミュラートゥルガウに強くひかれました。

リースリングなどはどうしてもドイツの印象が強く、後背を行く感がありますが、ミュラートゥルガウに関しては勝るとも劣らないと思います。

果実香とスパイシーさのバランスのよさが際立っているのです。ドイツよりもやや温かいことが功を奏し、ミュラートゥルガウの生育に向いているのかもしれません。

営業中の印、ブッシェン

 


 ヴァッハウには自家製のワインを楽しめる飲食店がたくさんあります。「ホイリゲ」という言葉がありますが、これには「今年のワイン」と「ホイリゲを飲むことができる居酒屋」という意味があります。

ホイリゲで新酒のワインを味わうのがオーストリアならではの楽しみ方。主役はあくまでもワインなので、料理はハムやチーズ、野菜と肉のペーストなど至ってシンプル。しかし、自家製のものが多く、本当にどれもおいしいものばかりです。

ホイリゲを見つけるには、看板に赤松の枝の束がくくりつけてあるのが目印になります。これはブッシェンと呼ばれる営業中の印。厳密に言えば少し違いますが、日本で新酒ができた合図にもなる杉玉(杉林ともいう)に似ていてとても興味深いものです。

ホイリゲでワインを味わい、自分好みであればボトルでワインを買う。これで最高の思い出とお土産を手にすることができます。 


 
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