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12月 20 2007
「日本酒で乾杯推進会議」総会 プリント
2007/12/20 木曜日 00:00:00 JST

 10月2日、第4回「日本酒で乾杯推進会議」総会&フォーラムが東京会館で開かれた。ホストは昨年と同じく神崎宣武氏と藤ジニー氏。ゲストは塩川正十郎、浜美枝、中村富十郎の諸氏で、それぞれに酒、酒盃、乾杯などにまつわる話が披露された。
塩川氏は宮中や首相官邸などで使われる酒盃のことから、ポットに入れた徳利による燗酒の話(写真はその燗酒を筆者に注いでいるところ)など、浜氏は旅に出る際には自分の気に入った酒盃を携帯することや、現在の箱根の住まいでの酒にまつわる話、そして中村氏は歌舞伎で、いかに酒にまつわる所作が多いかという話など、それぞれが酒とその周辺の話を面白く展開した。
なお、当日は「日本酒で乾杯推進会議」の会員が1万3,000人を超えたことが発表されたが、その会員の増大に貢献されたことで財団法人・千葉県経営者協会(会長・大塚弘氏)が表彰された。
懇親会では、何しろ600人を超える規模である。乾杯の音頭は中村氏がとったが、氏はこのような場合、「乾杯」とは言わず「おめでとうございます」ということで、そのような発声でスタートした。
東京会館の料理には定評がある。それに居並ぶ酒も、それこそキラ星の如く勢揃いしている。とりわけ今回は、できるだけ全国の酒を網羅したいと、別記のような銘柄が並べられたことも特筆される。
左上=塩川正十郎氏よりポットで酌を受ける筆者。左下=「おやっ、撮ったのか」と2人。右上=ゲストの中村富十郎氏と浜美枝さん。右下=乾杯の音頭をとる辰馬章夫・中央会会長。

 翌3日は霞ヶ関ビル33Fで「大星岡村名酒フォーラム2007」が開かれた。50蔵元から地方清酒433アイテム、ワインは11社178アイテム、焼酎は36蔵元142アイテム、梅酒など柑橘酒は25蔵元40アイテムだった。
前日に大阪で日本吟醸酒協会の試飲会があり、これに出品した後で折返してこちらに列席した蔵元も何社かあったが、大阪の会は約600名、こちらの会は約770名の出席だった。
地酒は北海道から順に並んでいたが、特定名称酒に絞り、燗銅壺も隈なく配置されていた。注目されたのは、蔵元がこれまでにないタイプの新製品を打ち出していたことだ。一例を挙げれば、「五大天」という銘柄とその味を試して、どの蔵元の酒かわかりますか?という具合である。この酒などは従来の同社の味の系列にはなかったものである。
最近注目されているリキュールでは、梅のかほり、夏みかんのかほりなど、前々からあるものの他、私は発足時の経過を知っているステラの梅しそ酎・ステラハーフムーン、蔵元へ行って発売前の味に触れたブルーベリーなお酒など、馴染みの味のいい意味での変わりように気をひかれた。









 京都観光といえば寺巡りが定石だったが、昨今ではアジのある伏見へ足を向ける人が多くなった。酒蔵見学を受け入れている蔵元もあり、それと合わせて「蔵の味」を訪ねてみる妙味がある。
■伏見の酒をすべて集めてある「伏見夢百衆」(TEL.075・623・1360)は、かつて月桂冠の本社屋だったところだが、今では伏見観光の拠点のようになっていて、女性スタッフが伏見の案内を丁寧にやってくれる。伏見の酒の全種類をテイスティングすることができるし、喫茶室もある。
■「神聖」の山本本家では「鳥せい」(TEL.075・ 622・5533)という鳥料理の専門店がオープンして、客が順番待ちをするほどの人気を集めている。そもそも伏見というところ、京都の中心街から見れば下町的な雰囲気に満ちたところで、土地柄からも焼き鳥の人気が高いところだったという。鳥は高千穂高原鳥を取り寄せるほどの凝りようである。
 
■「月の蔵人」(TEL.075・623・4630)は月桂冠の酒蔵だったところで、以前のムードをうまく生かしている。この店の自慢は毎朝作られるざる豆腐をはじめとする創作和食だ。和食党日本酒派には「これぞ京の味」の店として見逃せない。昼食時などはご婦人方の行列が出来るほどである。
■「キザクラ・カッパ・カントリー」(TEL.075・611・9921)は、黄桜がギャラリーやレストランなどとともに開いているもので、地ビールはここで造られたものが供されている。日本酒やビールに合う料理も工夫されていて、幅広い客層を狙っている。
 幕張メッセに展示された伏見のブース

 地方の酒蔵取材に出かければ、そこでの酒の肴、料理が常に印象づけられる。山形県の米沢、置賜地方へ出かけた際には米沢藩の14代目・上杉茂憲が建てた上杉伯爵邸での会食に地元の味を堪能した。上質の霜降の米沢牛はいうに及ばず、ウコギ豆腐やウコギこんにゃくの田楽、棒ダラ煮、ニシンの味噌煮のような親しめる風味が、地元の地酒とぴったりマッチする。
ここ上杉伯爵邸は東京の浜離宮を倣った庭園で、登録有形文化財の指定も受けている。古くから上杉家では地元の食文化を大切にしたことでも知られている
なお、再来年のNHK大河ドラマでは、上杉家の知将といわれた直江兼続という人物が主人公で、その際にはこの地方の酒と料理もクローズアップされるだろう。



米沢牛は古くからの牛肉のピカ一

 新潟市の鍋茶屋といえば、通人なら知らぬ者のない料亭である。なにしろ古町のこの建物は文化庁の保存文化財として登録されているほどの老舗中の老舗で、創業は江戸時代の末期だから160 年を超える。創業した頃にはスッポン料理が看板だったことから「鍋」の名が付けられた。家屋の至るところに亀甲の意匠があるのもスッポンに由来する。いうまでもなく、政財界の要人や文人墨客など多くの客がこの料亭に足を運んでいる。これほどの料亭ならさぞかし値段も高いのでは、と思われる方のために料金を記しておく。特別コースののれんの味(料理6~7品)が夜の松のコースが2万円、昼の竹のコースは1万3,000円、同じく昼の梅のコースが1万 1,000円。酒は徳利1本840円となっている。


料亭の老舗・鍋茶屋の玄関

 10 月12、13日と有楽町駅前の東京交通会館3Fで、第3回富山の酒フェアが開かれた。参加蔵元は15社で、黒部峡、幻の瀧、銀盤、北洋、満寿泉、富美菊、よしのとも、風の盆、おわら娘、曙、勝駒、若鶴、若駒、成政、三笑楽だった。初日が約700人、2日目が約800人を集めた。入場者は試飲用カップ(200円)を購入の上で試飲自由。初日の売上げが約70万円、2日目は90万円で、持参した酒を全部売り切ったところも数蔵あった。このビルの地階には「いきいき富山館」という常設で販売している店もあり、都心でも馴染みの地酒としての親しみもあるようだ。広報担当の大谷さんは、「少しずつでもこうしてクチコミで拡がっているのを心強く思います」と語った。



 これまでは神無月(10月)に島根イン青山で開かれていた島根の酒の会が、今年は東京交通会館3Fのグリーンルームで開かれた。
昨年は15蔵元の参加だったが、今年は別記の通りに減った。それというのも、石見銀山が世界文化遺産としてスポットを浴びたことで、その地名ずばりの蔵元などは地元での観光客の応対に追われ、嬉しい悲鳴を上げているからである。
出品蔵元はそれぞれが自慢の酒を持ち寄ってアピールしていたが、燗上がりするのが目立った。昔から日本酒の消費が多い土地柄だけに舌の肥えたドリンカーが多く、それだけ酒の質の水準が高いのである。

 10 月24日(水)には飯田橋のホテルメトロポリタンエドモンドで日本吟醸酒協会の「秋の吟醸酒の会」が開かれたが、同会の詳細、目下の動向などについては同会理事長である「末廣」の新城氏との対談で次回発表する。11月14日に行われる仙台局での一般公開を取材した後、同氏の胸中などじっくり訊いてみるつもりだ。

  10月29日(月)には、やはりホテルメトロポリタンエドモンドで「第8回名誉きき酒師酒匠任命式典」が、別の会場では「地酒と料理の夕べ2007」が催された。参加者は総勢1,000名を超えた。
名誉きき酒師に任命されたのは、日本醸造協会・顧問の秋山裕一氏をはじめ、「日本酒で乾杯推進会議百人委員」の一人でもある東大大学院教授・北本勝ひこ氏、同じく委員で東大名誉教授・児玉徹氏、それにブルガリア、ルーマニア、ベネズエラなどの駐日大使などを含む海外での日本酒普及に貢献した28名だった。海外への日本酒の進出が目ざましい時だけに、時宜を得た選定だと思う。
乾杯の音頭は日本酒造組合中央会の淺見敏彦副会長で、当日はきき酒師の認定を受けた一般会員も交えて盛り上がった。この日のメニューは黒豚味噌漬け、康卵入りタルトオニオンにはじまり、鹿児島黒豚入りパテ・アンクルート、ブリヤ・サヴァラン風、めばるのソテハーブとトマト風味、牛フィレのポアレマスタード風味、ゲランドの塩を添えて、ガトーショコラ ノワゼット風味、アルマニアックのアイスクリーム添え……と続いた。お膳立てもしっかりしている。

今回の受任者は28名



  なお、29日の「地酒と料理の夕べ2007」では総勢1,019名の来場者から出品酒についてアンケートをとった。その詳細は別表の通りだが、20代から60代以上までこまめにアンケートしたのが注目される。
「大切な人と飲みたい(贈りたい)酒」では、大七、真澄、玉乃光、黒龍などの常連が上位を占める中に、川中島幻舞大吟醸プレミアムがトータルで首位に入ったのには驚いた。この酒、今年の『週刊現代』(3月3日号)で女性杜氏の特集で取り上げ、私がコメントを寄せたのを思い出す。
「美味しい」、「かわいい」、「ニューフェイスな酒」では黒龍吟のとびらがトータルのトップだったが、どんなものか知らないので是非とも試したい。「お燗でじっくり」の20代と60代以上で田酒がトップというのも面白い。年齢を重ねることで若い舌と重なる部分でも出るのか。「鍋」のベスト4に司牡丹・船中八策、森民雄町特別純米が入ったのもなるほど、である。
このアンケートを細かく見ると実に興味深い。造り手、売り手の参考になるだろう。

試飲もそこそこにアンケートに記入


アンケート用紙

 11月3日に第3回「日本酒チャンピオンズ・カップ2007」が開かれた。参加銘柄は108で一次予選通過が43銘柄。有楽町の外国人記者クラブでその二次審査が行われた。
結果発表前にSSI研究室長・長田卓氏からどの酒が良かったか?と訊かれ、桜正宗のカップを持ったところ写真を撮られたが、その後での発表はそれが正解で吟醸純米部門の優勝は灘の桜正宗だった。味に得もいえない幅があったのがよかった。

 木原光知子さんの急死には驚いた。私のひと周り違う妹と岡山の山陽学園の同級生で、クラスで最も背の高いのが木原さん、最も低いのが妹だったそうだ。10 年ほど前に岡山城築城400周年ということで、その記念式典の特別参与として木原さんや石津謙介さん、八名信夫さんなどと一緒に、赤坂プリンスホテルで岡山県知事を交えて何度か打ち合わせで会ったことがある。中でも最も若かった木原さんが急逝しようとは……。必ずしも年齢順ではない、とつくづく思う。
私も健康のためというより健酒のためにスイミングを続けているが、30分で600~700m泳いだからといっていつ何時コロッと逝かないとは限らない。
 

◆◆◆ 海外で拾った酒がらみエピソード ◆◆◆
  この国酒は日本ではない。中国・貴州省仁懐県茅台鎮、つまり茅台酒の工場の敷地内に草を刈り込んで作られた文字である。かつては中国で最も多く生産されていた白酒である茅台酒だが、今はビールをはじめとした低アルコール嗜好の風潮の中でそんな国酒のシェアが減っている。他人事ではない。
この茅台に泊まった翌朝、ホテルを出て散策していると、町全体に「茅香」と呼ばれる茅台酒を仕込む香りが漂ってくる。わが国では酒蔵の集まる西条の町の早朝の散歩を思い出した。
量こそ減っても、あくまでも国酒の誇りを失わない姿勢はまばゆい感じがするではないか。
茅台酒工場の邸内にある「国酒」

 写真にあるのはロンドンにあるスコッチ専売店の棚である。店は「The Whisky Shop」といい、スコッチは写真の通り産地別に表示している。日本でいえば、灘、伏見、新潟と表示している店と思えばいい。ただ、専門店なのでこれらの地域別には入らないものもある。それらはメーカーが既に生産をやめた商品でも、いわばスペシャル・ブランドとしてそれなりに人気を集めているネゴシアンの商品だ。わが国でも廃業した蔵元の酒を熟成して特別に扱っている店の例を耳にするが、何となく謎めいたところが人々の関心を呼ぶらしい。

The Whiskey Shop の棚

 オーストラリアはシドニーの地酒「豪酒」はアルコール15%、日本酒度マイナス6、酸度1.5で、生貯蔵酒として街の和食レストランにある。ソフトなすっきり風味、750mlで1,200円だが、これは地元のテーブルワインと同じ値段でもある。
日本酒の工場はシドニーから西へ車で40分のペンリス市にある。ジャポニカ米を原料にブルーマウンテンからの軟水の仕込水を使っている。洗米ではヌカ切れがよく、蒸米には若干のねばりがあるが、何しろ乾燥度が高いだけに麹のさばけがいい。
シドニーのフィッシュマーケットは盛況で、和食レストランの仕込みには刺身に適した魚の需要も多いというから、豪酒の先は愉しみだ。



シドニーの和食レストランにて

 写真はモスクワ市内にあるクリスタルというウォッカ工場の応接室のテーブルである。料理というよりも酒の肴が並び、低アルコールのウォッカが揃っている。かつては60~70%もあったウォッカが今は40%台となり、写真にあるカラフルなウォッカは薬草を漬けこんだズブロッカであり、他に唐辛子を漬けたペルツォフカなどもあり、これらは35%とアルコールは低い。
なにしろロシアでもビールの伸びは目ざましい。昔のロシアのビールは「馬の小便」と呼ばれたほど不味いものだったが、昨今は内容が充実し、それにつれて需要も増えてきた。白酒の伸び悩みに頭をかかえる中国同様、ロシアもウォッカの今後の対策に知恵を絞っているのである。




薬草や唐辛子を漬け込んだウォッカ

撮影協力・鈴木潤
 
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