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2月 21 2008
仙台局はきき猪口で直に プリント
2008/02/21 木曜日 10:26:09 JST

 07年11月14日、仙台局での東北清酒鑑評会の公開に出席した。吟醸酒は出品325点中68点が入賞、純米酒は出品131点中51点が入賞だった。
早朝の新幹線で仙台まで2時間、駅から地下鉄で2つ目だから9時には仙台局に着く。その時間で200名ばかりの行列である。入賞した蔵元のうちの知ったところには「おめでとう」と言えるが、落選した蔵元には挨拶しにくい。すると向こうから「お元気がないですね」と言われたりする。
この仙台局ではスポイトは使わず、きき猪口から直かに利く方式で、昔から変わらない。審査からひと月も経っているから品質が変わるのは当然で、優等賞はデリケートなだけに?印のものもちらほら。

 11月20日に東京局の「07年の鑑評会受賞酒きき酒会及び一都三県蔵元との交流会」が大手町のJAビル8F第一会議室で開かれた。
大方の審査会がそうだが、プロファイル法によって「色、香、味」を分析する1審と、「香味の調和、原料の特性、製品コンセプトの合致性」などの2審との総合評価によって優等賞が決まる。
日本酒は38場から131点の出品で、優等賞が吟醸酒16点、吟の舞9点、ぎんから9点。左記の三部門全てに入賞したのは七賢(山梨)、東灘(千葉)、千代鶴(東京)、澤乃井(東京)の4蔵だった。
会場では、壁を背に自慢の酒を並べた蔵元が参加した酒販業者などに応対していたが、このやり方は東京局でははじめてだった。業者の声に耳を傾けようとする姿勢はいい。

 東京局の一般公開があった当日、同じ大手町のお堀端パレスホテルで「第30回一ノ蔵を楽しむ会」が開かれた。この会は3日に分かれていて、初日が18日の日曜日で約700名の参加、翌19日は800名以上、そして私が行った3日目は900名以上と日増しに参加者は増えていた。
この楽しむ会の第1回目は新宿三越デパートの食堂で小ぢんまりと行なわれた。その時は取引先や宮城県出身の人たちが多かったが、回を重ねるうちに次第にクチコミで拡がった由で、現在わが国で催されている酒蔵のお披露目パーティーとしては最大規模だろう。料理は山の幸、海の幸、宮城の幸、さらには粕汁や酒饅頭など、チケット制だから取りはぐれることもない。
純米大吟とすず音はチケットだが、他の酒は選び放題で18種類がスタンバイしている。当日のお土産は本醸造しぼりたてか酒粕だった。パレスホテルでのこのお膳立てで1人5,000円は確かに安い。

 11月22日に東京駅南口の新丸ビル7Fで福島県下29蔵元の「福島美酒体験パーティー」が、日付の11・22から「いい夫婦の日」ということで、1人3,000円のところカップルなら2人で5,000円という設定で開かれた。当初は500人を予定していたが、それをはるかに上回る参加人数だった。入口のあたりでカマボコ、スルメ、馬刺し、各種の漬け物など酒の肴は選び放題で、あとは会場で各蔵元の酌を受けるという形式だった。
06年の全国新酒鑑評会では全国一の23銘柄が金賞を受賞している実績もあり、水準の高い酒が居並ぶ様は壮観だった。

 暮れの12月には、きき酒師でもある宇都宮の横倉商店の横倉正一氏のご案内で栃木の酒蔵を巡ったり、連載の始まる雑誌の取材で新潟へ出掛けるなどした。
写真はその栃木県北の「りんどう湖ロイヤルホテル」に泊まった折の部屋のスナップ写真で、壁にあるのは備長炭である。炭は空気を清浄にするといわれている。高地にあるホテルの周辺の空気はいうまでもなく清浄そのものだが、それをさらにグレードアップしているわけだ。ホテル1階にある大風呂でもボディソープやシャンプーにも炭成分が入っていた。
その夜、私に酒の著作があることを知った副支配人が酒の相手をして下ったのだが、その副支配人、燗酒を傾ける飲みっぷりが実に堂に入っているのだ。酒がよかったこともあって後にもひかなかった。酒は近郷の「天鷹・心」と「国造(くにのみやつこ)」。翌朝、チェックアウトの際にその酒代は勘定されていなかった。

りんどう湖のロイヤルホテルのルーム

栃木の酒で案内役の横倉商店の手印
 新潟県と福島県の県境に、越後長野という温泉があり、森林に囲まれたこの地の「嵐渓荘」は日本秘湯を守る会の宿でもある。上越新幹線の燕三条からなら東南へ車で30分ほどのところである。都会の雑踏の中にいる者には、ナトリウム塩化物の露天風呂にでも入っているといい生命の洗濯になる。
山の幸、川の幸にも恵まれた食事で、近くの「越乃景虎」のぬる燗が進む。近くには初めて漢和辞典を完成させた諸橋轍次氏の記念館がある。この人は皇太子殿下の名付け親でもある。飲んで騒ぎたい観光客には行ってほしくない宿である。

嵐渓荘の山と川の幸料理
 新橋の料亭といえば、古くは政界の奥座敷ともいわれていた。その新橋ナンバーワンの芸者ともいわれたのが芸者・花蝶。その名にちなんだ「花蝶」という料亭が2年前に新装オープンした。近所に生家がある演出家の宮本亜門がこの店のプロデュースしたというだけあって、古き時代と現代がうまくミックスされた店内のムードがいい。
座敷もあるが、白で統一されたメインダイニングへは靴のまま入れる。気の利いた懐石料理に、アペリティフに出されたのが純米酒の発泡性ニゴリ酒である。シャンパーニュと同じように瓶内二次発酵させたクリーミーなアルコール9%の酒で、酒名は「喝采」。アベックには恰好なお膳立てだろう。場所は銀座7丁目、日産自動車そばである。



花蝶のダイニングルーム

 精米を引き受けていたJAが止めたり、止めそうだったりと、精米機のない蔵元は心配が絶えない。例えば富山県。この県内で精米機があるのは若鶴、立山、銀盤の三蔵だけだが、立山は組合から脱会したから、残るのは二蔵。県内を東西に分けて引き受けている恰好だ。
このような例はあちこちに見える。東京近郊では、神奈川県のメルシャンに依頼していた蔵元が、メルシャンが止めたため多くは埼玉県の方へ委託をするようになり送料が思いのほかかかるなど、精米の内情でも苦情も絶えない。精米は造りの出発点、くれぐれも手抜きのないよう願いたいものだ。

 蔵元に対する租税特別措置法が平成20年春で切れるのを25年3月末まで延長することが決まった。
このような措置法は酒の業界ばかりではない。四半世紀の昔、歯科医師の業界で28%という措置法が決定した裏の事情を私は熟知している。当時、私は医療業界で働いていた友人を手伝って政治家の座談会の記録を書いたことがあった。この時は政界と業界の提案の平均値を取った形での決着だった。
今回の租税特別措置法87条の延長については、年度によって変更があるにせよ、これが無ければ廃業の憂き目をみるところも少なくない。この法案については淺見中央会副会長のご努力に感謝したい。

 「日本酒で乾杯百人委員」に酒の著述家として加わっているのは佐々木久子氏と私だが、その佐々木氏が体調を崩されて入院中のため、酒のコメントが私によく回ってくる。その佐々木氏の「酒」の雑誌が501号をもって休刊した際には、私が発起人代表となって神楽坂で激励会を催した。10年ほど前のことである。長年の間、酒の話題を盛り上げる役目を果たしただけにバックナンバーを読み返しても、なかなか含蓄に富んでいる。以下はそのほんの一例で、古酒について触れたものである。
 東京国税局長を経て、当時メルシャン・常勤顧問だった斎藤富男氏が「酒」の1995年6月号に寄稿された「清酒の製造年月日」では、日本酒の熟成と劣化について一般にもわかりやすい説明をしておいでである。それは、1.温度が10度上がると化学変化の速度が3倍上がる 2.明るい光線による変化 3.時間による変化で光線の当たる暖かい場所に10日間置くと、その品質変化は素人にもわかる。4.空気との接触を避けること……以上が詳細に説明されている。タイトルは「美酒へのアプローチ」で、こういう話こそ流通業者は傾聴すべきではないだろうか。
 
 
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