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6月 21 2007
昨今の学生飲食店事情 プリント
2007/06/21 木曜日 00:00:00 JST

 私が大学へ入った頃は、歓迎コンパと称して先輩が酒を奢ってくれるのは常識的なことだった。この習慣はずっと続いていたのではないだろうか。ところが、最近になって「飲酒運転」どころか「未成年飲酒」までうるさくなった。その点、「18歳からを成人と見なす」法律の動きがあるのは好ましい。
最近のこと、学生がよく集まる店(図)へ行ってきた。地方の中堅蔵元4社が500万円ずつ出し合って設立した「祭ばやし」という飲み屋である。JR高田馬場駅から歩いて5分とかからない地階の店で、営業時間は午後4時半から午前2時まで。
メニューには「青春パーティー(学生コース)」というのが飲物込みで三千円、「20代コース」になると前菜、刺身盛合わせ3点、焼き物、揚げ物、煮物、食事、デザート付き、飲物別で三千円、「30代コース」はそれが四千円、そして「熟成コース」は五千円となる。
酒はなかなかだし、料理の内容にもよく気を遣っていて、この値付けは良心的なことを若者たちはよく知っているのだろう。4人から100人までの予約制(03・3208・7539)で、店内は満員だった。しかし、学生ばかりの青春コースの中で3分の1ほどがジュース類を飲んでいるのである。酒場へ来て酒を飲まないでいられるのも腑に落ちないが、それで結構騒いでいる。まさか、20歳未満ではあるまいが……。店員に訊くと、それは雰囲気が好きなお客様だという。最近の学生の飲食事情を知るには恰好な店だと思うので紹介した。






 4月11日(水)に行なわれた関東信越国税局の「きき酒会」は降雨の中にもかかわらず、16時半から19時まで(入場は18時半まで)に2,500人の足を集めた。これは昨年の倍である。
出展は6県1,000銘柄と謳っていたが、日本酒はせいぜい600銘柄、あとは地ビールとワイン、焼酎など。出展も入場も無料だったこともあって、主催者側はかなり気をつかってピリピリしていた。開場3時間前に行って局長の談話をとらせてほしいと言ったところ、事前に秘書課を通じてアポイントメントをとってもらわないと困ると言う。比較的オープンな東京局とは違って、やけにガードが堅い。
 ひと通り廻った最後にアンケートがある。別掲はそのごく一部であるがこの他に、もう一度飲んでみたい銘柄とか、地ビール、ワインなども具体的な酒名を書くところもあるから局としては公開するには憚られよう。
それにしても、役所がこうして積極的に民間に入ってくるのはいいことだ。せめて5分間でも局長の話を聞きたかった。
アンケートのごく一部

会場の全景

真澄の会長(左)は78歳、一人娘会長(右)は83歳、いずれもお若い

 春の試飲発表会が各方面で行なわれているが、開催の10日前に出品酒の試飲会に呼ばれた㈱太田商店の場合をご紹介する。
別表が出品酒のごく一部だが、それぞれの蔵元が自社の特徴を端的に打ち出せる商品を出していることがよくわかる。これらを品質評価で優、良、可、そして値頃感を割安、並、割高と分けてチェックするのだ。精米は35%から70%まであるが、大吟醸クラスは別として、精米が必ずしも評価に比例するとは限らない。チェックが重なるにつれそのことが鮮明になり、酒質にインパクトのあるものが印象に残っていく。
開催当日にはこれらの特徴ある各蔵元のブースのほか、新酒鑑評会へ出品する酒やオーガニックの酒、夏を前にニゴリや発泡酒、長期熟成酒、湯煎燗酒、さらに「春の市」として少量限定品のコーナーなどがスタンバイしていた。
酒販業者の目は日を追って鋭くなっていく。それに応えるにはこれまでの型通りの試飲会ではなく、さらに突っ込んだ内容が必要であることをこの発表会はよく物語っていた。
出品酒のごく一部

熱のこもった質問が次々に飛んでいた

先入観に捉われまい!
 ビールは褐色、ないしは薄い褐色、という概念に捉われてはいまいか。多くの場合はその通りだが、写真にあるのはピンク、黄色、それにダークだ。これらはバイスビールに甘いシロップを混ぜたもので、ドイツはベルリンのグランドホテルで出されていた。
乳酸発酵のバイスビールは飲み飽きしやすい。そこでイチゴシロップのようなものを混ぜて飲む。これは目先を変えた智恵だろう。それを顔がのめり込むほどの大きさのグラスに入れて、ストローで飲むのだ。シロップで薄めたアルコール度のごく低いものは子供も飲んでいた。わが国でもいずれはこうなるのではないか。
 もう1つはビールの燗だ。わが国ではビールの燗など考えられないが、ドイツなどでは、厳寒の季節に苦味価の高い黒ビールなどを写真のように湯を張った容器に付けてから飲むのは普通なのである。ビールの冷え頃は冬なら何度、などという常識はここでは通用しない。わが国でも苦味価の高いビールがよく出るようになれば寒い冬にはこうなるだろう。
 

カラフルなビール(ベルリン)とビールの燗(ニュルンベルク)


■愛媛県の東端、西条の石鎚正宗ではタンクにご覧の通りの設備があり、ここで歌を響かせる。モロミがこの振動の影響を受けるわけだ。神奈川県の白笹鼓は製麹室でもモーツァルトを流すことで「モーツァルト」の酒名であるが、ここではモロミに直かに、である。はて、どんなものか。

こうして音を響かせる(石鎚)

焼き鳥の酒の純米と本醸造(山丹正宗)
■今治というところ、人口比率で焼き鳥屋が多いあることで知られている。従って、その名もズバリ、「やきとりの酒」(純米酒で日本酒度+2、酸度1.3。1升=2,625円。本醸造で日本酒度±0、酸度1.5、1升=1,932円)。山丹正宗の製品である。
蔵元によると、コンスタントに出ているという。『ヤキトリ稼業は勝ち組商売』という本を書いた人によれば、1.現金商売である2.不景気に強い3.低カロリーである4.設備費が安く利益率が高いのだそうだ。
■酒蔵内では小さな道具を使うことが多いわりに、その始末を忘れることがある。なんでもない表示だが、この注意書きがあることで元に戻すようになったというから、馬鹿にならない。「清潔第一」とか「整理整頓」といった型通りの注意書きはよく見かけるが、それを具体的に表示することの大切さを示した一例ではないか。

小さな道具には注意書き(梅錦)

柄の部分を色分けした(蔵元はオフレコ)
■櫂は数多く使うが、それをどのタンクに使うかを柄の部分を色別にすることではっきり示してある。柄の一部にちょっとテープを巻くだけのことなのだ。

■全国新酒鑑評会の金賞ともなると、桐の箱に入れて仰々しく飾りたてたり、重々しく演出したりする例が多いが、この蔵元の場合、車のよく通る前の道路傍に、手製のこんな簡単なお知らせを立てている。少しももったいぶったところがないのがかえって好感を呼んでいるらしい。

手書きのポスター(腰古井)

タンクをくり抜く(真寿鏡)
■どの酒蔵も減産が続いているのは周知の通りだが、空いたタンクの処理に頭を悩ませているところは多い。写真にあるのはタンクの中をくり抜いて見学者の通路の途中に備えてあるもので、内部には見学者のための工夫が凝らされている。タンクの中など一般にはめったに見られるものではない。
■蔵元の車といえば、酒の銘柄を描いてあるのが普通だが、中には例外もあるというのがこの車。並んでいるのは徳利と酒器、色を変えて角樽。なんとも奥ゆかしくて心和むではないか。この車、阿蘇の「れいざん」である。この蔵元では、ラベルに飲んだ当人の酩酊度を計るアイデアが施されている。この話は拙著『日本酒党の視点』(技報堂出版)に説明してある。

「れいざん」の車

 5月9日に半蔵門お濠端のFM東京ビルの「ぴっころ」で㈱小田急レストランチェーンが、私の著作にある旨酒を味わう会を開いてくれた。今から5年前に如水会館で私の酒の著作35年記念会を催して頂いた際には230名の方々が集まって下さったが、今回はここ2、3年の間に私が取材した蔵元の旨酒に絞り込んだため広島など出品して頂かない県も多かった(この後、15日から3泊4日で広島県15蔵元を取材したが、これは次回の本に収める)。
そんなわけで下記の38蔵に出品を頂いた。特定の団体ということではないだけに、大手蔵、中堅蔵と実にさまざまだった。主催の小田急系列の百貨店酒売り場や酒販店関係者、出版、ジャーナリストなど多彩で近頃の日本酒の出来栄えに驚く一般参加者も多かった。



 この一覧表をじっくりとご覧になれば、売りたい筋の酒、人気筋の酒もおのずと浮かび上がってくるのではないか。これは過日の太田商店の商品群とも共通の部分は多い。
なおビールについては、小田急系列では最も多いアサヒビールだけということで、拙著にあるプライムタイムをはじめ、これもこだわりで旨口のビールとして店が設置して下さった。

 前述の通り、広島の酒蔵を取材した話は雑誌などに発表の上で次の本に収めるが、現在の広島の蔵元は66社で、そのうち稼動しているのが45社である。多いのが3万石で小規模な100石の蔵も見てきたが、それぞれが独自の世界を拡げている。広島市内から廿日市方面、そして呉から西条へまわって、さらに安芸津から竹原にかけての15蔵元である。
昨年の10月22日には皇太子殿下が西条を訪問された。殿下は独身の頃から全国各地の日本酒に興味を抱いていてエピソードは事欠かなかった。それだけにひとつ、昨今の需要開発にひと役買ってほしいと願うや切である。

昨年の10月22日に西条での殿下と
案内役の西条酒造組合理事長・前垣寿男氏

 5月22日に赤坂プリンスホテルで開かれた長野の酒メッセin東京へは1,080名の参加だった。先着600名には300mlの酒のお土産付きである。長野県には現在93社の蔵元があるが、出品したのはそのうちの55社で、それぞれが自慢の銘柄を前面にアピールしての試飲である。参加者は当日券1,500円、前売券1,000円。開催にかかった費用の蔵元の負担は一社が2万円ほどだった。


 5月23日の東京会館での日本酒で乾杯100人委員会では、最初に代表の石毛直道氏がニューヨークにある800軒ほどの日本食レストランの盛況ぶりについて触れた。講演では京都大学大学院農学研究科・伏木享教授が「おいしさの科学」と題して、おいしさを1.生理的なおいしさ2.食文化のおいしさ3.情報のおいしさ4.本能のおいしさに分類しての説明が面白かった。そして最後に、小学校低学年までに覚えたおいしさの味覚は終生忘れられないなど、含蓄に富んだ話だった。もう一人の健康科学大学・折茂肇学長の「我が国の医療危機を救うためには国民的議論が必要」は現在の日本での医療危機を世界と対比した話だが、「酒」には無関係だった。後の懇親会には女優の浜美枝さんが出席したが、この人は10月2日に開かれる同会のフォーラムのゲストだそうだ。

撮影協力・鈴木潤

 
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